Language-Freeが目指す世界と、いまの現実
前回は、Webが世界中につながった今も、情報は言語によって分断されていること。そして、その壁をなくすために僕たちが「Language-Free」という構想を掲げていることを書きました。
Language-Freeが目指すのは、発信する人が自分の言葉で伝え、受け取る人も自分の言葉で受け取れる状態です。では、その世界と現在の多言語サイト運用との間には、どんな隔たりがあるのでしょうか。
多言語サイトは、作った後が大変
多言語サイトをつくるときは、まず日本語の原稿とページを用意し、その内容を各言語へ翻訳してページを展開していきます。システムによって作業の順番は違っても、一つの原文を複数言語へ展開するという基本構造は同じです。
ここまでにも手間と費用はかかります。ただ、本当に難しいのは、その状態を維持し続けることです。
日本語ページを更新すれば、各言語版も追従させる必要があります。原文を修正し、再翻訳し、内容を確認し、各言語ページへ反映する。ニュースや記事を継続的に発信するサイトなら、この作業が更新のたびに繰り返されます。
最初に数言語へ展開することと、その後も複数言語で更新し続けることは、まったく別の仕事なのです。

多言語化したことで、更新しづらくなる
さらに厄介なのは、更新のタイミングがずれたときです。
日本語版では最新の情報に更新されているのに、他言語版では以前の内容が残っている。そうなれば、単なる情報の鮮度だけでなく、正確性にも差が出ます。
実際、僕自身もこれまでWebサイトに関わる中で、日本語ページは更新されているのに他言語ページは何年も前の状態で止まっていたり、言語によって掲載内容が食い違っていたりするサイトを何度も見てきました。
みなさんも、海外向けページだけ情報が古かったり、日本語版とは内容が違っていたりするサイトを見かけたことはないでしょうか。
こうした状態を避けようとすれば、運用する側は全言語を揃えて更新したくなります。ところが、それには翻訳や確認の時間が必要です。その負担が先に立つと、日本語ページそのものの更新までためらうことがあり得ます。
本来、情報をより広く届けるための多言語化が、逆に情報発信のスピードを落とす。少し皮肉ですが、多言語サイト運用が抱える大きな矛盾の一つです。
多言語サイトは、なぜ数言語で止まるのか
ここまで考えると、対応言語数が限られやすい理由も見えてきます。
言語が増えるほど、翻訳だけでなく、確認、更新、修正、管理の対象も増えます。だから対応言語は、「誰に届けたいか」だけでは決められません。「どこまでなら継続して運用できるか」との折り合いが必要になります。
ここで重要なのは、その線が必ずしも「需要の上限」を示しているわけではないことです。
本当はもっと多くの言語で届けたい。でも、人手や費用を考えると、どこかで線を引かざるを得ない。多言語サイトの対応言語数は、「需要の上限」ではなく、「運用可能性の上限」によって決まっているケースが多いのではないでしょうか。
見えにくかった、運用開始後の負担
多言語化のメリットはこれまで数多く語られてきました。一方で、公開後も原文の変更に各言語版を追従させ続ける負担や、それが日々の情報発信そのものに影響することは、あまり正面から語られてこなかったように思います。
翻訳ツールや運用体制によって負担を軽くすることはできます。それでも、人が言語ごとに翻訳し、確認し、更新することを前提にする限り、言語数に応じて運用負荷が増える構造そのものは残るのです。
そもそも、このやり方でいいのか
リボルバーは、これまで多言語サイトの翻訳や運用そのものを事業の中心にしてきた会社ではありません。だからこそ、既存の多言語運用を前提にせず、「そもそも、この構造を続ける必要があるのか」というところから考えることができました。
Language-Freeが目指しているのは、「何語までなら運用できるか」ではなく、「誰に届けたいか」を起点に多言語発信を考えられる状態です。
そのためには、人が言語ごとに同じ運用を繰り返す現在の構造そのものを変える必要があります。
では、どう変えるのか。
次回は、その具体的な方法について書きます。
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