日本語で投稿する。それだけで最大30言語で世界に広がる。今日発表した「prism OKAMI Edition」では、前回書いた「何語まで運用できるかではなく、誰に届けたいかから考える」を、かなりストレートに形にしました。30言語で情報が存在することで、これまで想定していなかった言語圏の人や、まだ日本旅行すら考えていない人との接点まで生まれるかもしれない。なぜ宿泊業で、なぜ30言語なのか。そこに込めた仮説についてお話しします。

「誰に届けたいか」から考えたら、最大30言語になった

前回の記事の最後に、こんなことを書きました。

「何語までなら運用できるか」を考えて対応範囲を決めるのではなく、「誰に届けたいか」を起点に考える。そして、その相手に必要な言語へ情報を届けていく。

今日発表した「prism OKAMI Edition」は、この考え方を最初に具体化したサービスです。宿のスタッフが日本語で投稿した情報を、最大30言語のWebコンテンツとして世界へ発信します。

30言語。従来の多言語サイトが日英2言語、あるいは中国語や韓国語を加えた数言語で構成されることが多かったことを考えると、かなり大きな数字です。

その言語数を決めてきた大きな要因のひとつが、運用負荷でした。言語を増やせば、翻訳、確認、公開、更新の仕事も増える。そこでまず「現実に何語まで運用できるか」を考え、その範囲で対応言語を決める。これまでの多言語サイトでは、そうした考え方が現実的でした。

prism OKAMI Editionでは、その順番を逆にしました。

まず、日本の宿の情報を誰に届けたいのかを考える。視野を世界へ広げれば、そこには英語や中国語のほかにも、さまざまな言語を使う人たちがいます。多言語運用をprismに任せられるなら、その人たちも最初から届け先として考えてみよう。

その結果が、最大30言語です。

30言語がつくるのは、接客より前にある「出会い」

30言語と聞くと、宿泊施設の方は別の心配をされるかもしれません。

「たとえばタガログ語で情報を出して、実際にフィリピンからお客様が来たらどうするのか。タガログ語を話せるスタッフなんていない」

これは自然な疑問だと思います。

僕たちは、Webで情報を探すときと、旅先で人と話すときでは、使う言語が変わることがあると考えています。現地では英語などの共通語でスタッフとやり取りする人も、旅行前の検索では、自分にとって最も自然な言語を使う。

画像: 30言語がつくるのは、接客より前にある「出会い」

つまり、最大30言語がまず担うのは、接客よりずっと前にある「出会い」の部分です。しかも、その出会いは、すでに日本旅行を検討している人よりさらに手前から始まる可能性があります。

たとえばフィンランドの人が、大好きなサウナについて母国語で調べているとします。日本旅行とは関係なくサウナについて検索していたら、その検索結果に日本の温泉文化の記事が現れる。「日本にはこんな文化があるのか」と知り、少し調べてみる。そして「一度体験してみたい」と思う。

そこから日本への旅行が始まることだって、あるかもしれません。

そう考えると、prismが情報を届ける相手は、世界の旅行者だけでなく、世界のインターネットユーザーまで広がります。

もちろん、フィンランド語の記事を一本出した翌日に、フィンランド人が大挙してやって来るという話ではありません(笑)。

一つひとつは細い糸です。でも、その糸がフィンランド語、タイ語、インドネシア語、フランス語……と世界中へ伸びていく。一本ずつは細くても、束になれば大きい。僕は、そこに30言語で発信する意味があると思っています。

30言語の入口ができれば、「何を届けるか」も変わる

届ける相手が広がれば、次に変わるのは「何を届けるか」です。

宿には、世界へ届けられる情報が毎日のように生まれています。季節の景色、料理や旬の食材、庭の様子、地域の祭りや催し、その土地ならではの文化。そこにいる人には何気ない日常でも、遠く離れた誰かには、旅に出るきっかけになるかもしれません。

これまで多言語サイトで中心になってきたのは、客室、設備、アクセスなど、比較的変化の少ない基本情報でした。日々変わる情報を何言語にも翻訳し、更新し続けるには大きな運用負荷がかかるからです。

その結果、季節の便りや地域のお祭りといった日々の情報は、日本語だけで発信されることが多かったと思います。というより、そもそも「この情報を30言語で世界へ届けよう」という発想自体が、現実的な選択肢になりにくかったのでしょう。

でも、日本語でいつも通り投稿するだけで世界へ届くとしたら、話は変わります。

「これも海外の人に伝えてみよう」
「こんな話にも興味を持ってもらえるかもしれない」

そんな発想が生まれれば、これまで多言語発信の対象として意識されてこなかった情報にも光が当たります。そして対応する言語が広がれば、これまで宿泊客として強く意識してこなかった地域の人たちも、新しい届け先として見えてくる。

何を届けるかも広がる。誰に届けるかも広がる。

prism OKAMI Editionによって、宿の情報発信そのものが変わっていく。僕たちは、そこまで期待しています。

「日本語で投稿するだけで、宿の『今』が最大30言語で世界へ届く。」

公式サイトのキャッチコピーにこの言葉を掲げたのも、そのためです。

仮説は、現場で確かめる

ここまで書いてきたことに、僕自身はかなり手応えを感じています。

prism OKAMI Editionは今日発表したばかりで、実際の利用はこれから始まります。30言語で情報が存在すると、どんな地域から読まれるようになるのか。宿側の発信内容は変わるのか。これまで想定していなかったお客様との接点が生まれるのか。ここから先は、実際の現場で確かめていく段階です。

リボルバーは、CMSやコンテンツマーケティングを通じて、企業の情報発信を長く支えてきました。これからは、その経験を宿泊・観光の情報発信にも活かしていきたいと考えています。同時に、この業界には長年の実践を通じて積み重ねられてきた知見があります。そうした経験から学び、現場の声にも耳を傾けながら、prismを育てていきたいと思っています。

明日9月18日、その仮説を全国の宿泊施設の皆さんと一緒に確かめ、prismを育てていくための新しい取り組みを発表します。

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